かたくり      


携帯メールに送られて来た山の風景は、
懐かしい「かたくりの花」でした。

こどもの頃、山菜とりに連れて行ってもらった春の山で
この花が一面に咲いているのを見つけた時は、
宝物をみつけたように嬉しかったものです。
薄いピンクの花は、繊細で可愛らしく、
周囲のまだ枯れた草の中に、幻のように咲いています。

こどもの時にも、この花を摘み取った事は有りません。
ひと株に一輪だけ、一生懸命咲いている姿が、 子供心にも、
手をかけてはいけない 大切なものに思えたのでしょう。

雪が融けるとすぐに咲くのですが、花の咲くのはほんの短い間。
花のある一時だけ姿が見えて、周りの草が伸びてくると
もう、どこにあったのかすっかり判らなくなってしまいます。
束の間姿を現す、春の妖精です。